こころ相続サポートセンター

事務所からのご案内

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こんにちは。

 ニュースでは相変わらず記録更新の暑さを伝えていますが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。

 

 今日は、私が勤務している事務所についてのご案内をさせていただきます。

 

これまで、エイタックス司法書士事務所(個人事務所)として業務を行って参りましたが、業務の拡張に伴い、法人化をする運びとなりました。

 

令和2年9月1日より、  エイタックス司法書士法人 として業務を開始いたします。

 

これを機会に、より一層お客様のお役に立てますよう、所員一同、誠心誠意尽力いたしますので、今後とも宜しくお願い申し上げます。

 

この暑さもまだ続く気配、どうぞご自愛くださいませ。

遺留分

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こんにちは。

 

前回は、遺産分割の割合を定めた「法定相続分」についてご紹介しました。

法定相続分」は、法律が定めた遺産の分割割合です。

 

通常、「遺言書」がある場合には「遺言書」の内容通りに相続されます。

そうすると、例えば、「遺言書」に「全財産を○○財団に寄付する」と書かれていた場合には、相続人は全く遺産を受け取ることができなくなってしまいそうですよね。

しかし、実際には、このような「遺言書」がある場合でも、兄弟姉妹以外の

相続人は最低限の財産は相続することができる、と民法は定めています。

この最低限相続できる財産の割合のことを遺留分といいます。

 

 

 では、「遺留分」を受け取りたい相続人は、どうしたら良いでしょうか?

 

遺留分」を受け取るには、遺言によって「遺留分」よりも少ない財産しか相続できなかった相続人が、相続財産を受け取った人に対して、遺留分侵害額請求」をします。

遺留分」は、相続人が自ら請求をした場合にのみ受け取ることができます。

請求をしなければ、「遺言書」の内容通りの割合で相続されます。

 

この「遺留分侵害額請求」は、「遺留分」を受け取ることができる相続人が

相続が開始したこと と 

遺留分を侵害されたこと を

知った時から1年以内 に請求しなければ

時効となって、請求できなくなります。

また、相続が開始した時から10年以内に請求しなかった場合にも

時効となります。仮に、相続が開始して10年以上経っても、被相続人が亡くなった事を知らなかったというような場合でも、時効になると請求できません。

 

 次に、遺留分として受け取ることができる最低限の財産は、どのような割合で定められているのでしょうか?


相続人の組み合わせごとの「遺留分」は以下のとおりです。

相続人のパターン 配偶者 父母 兄弟姉妹
配偶者のみ 2分の1
配偶者と子 4分の1 4分の1
配偶者と父母 3分の1 6分の1
配偶者と兄弟姉妹 2分の1 なし
子のみ 2分の1
父母のみ 3分の1
兄弟姉妹のみ なし

 

 

 以下に「法定相続分」を示した表を掲載するので、法律がどのくらいの「遺留分」を

定めているのか、比較してみてください。

相続人の組み合わせ 配偶者 父母 兄弟姉妹
配偶者のみ 全額
配偶者と子 2分の1 2分の1
配偶者と父母 3分の2 3分の1
配偶者と兄弟姉妹 4分の3 4分の1
子のみ 全額
父母のみ 全額
兄弟姉妹のみ 全額

 

 

このような「遺留分」という制度がある以上は、法定相続人の同意がない限りは、法定相続人に全く相続させない ということはできません。

また、「全財産を譲る」といった「遺言書」があって相続した場合でも、他に法定相続人がいる場合には、遺留分侵害額請求」をされる可能性があるということ

になります。

 

一般的に、「遺言書」を書くことは、相続人間の紛争を抑止する効果があると言われて

います。そのような目的をもって「遺言書」を書こうとお考えの場合には、ぜひ今回ご紹介した遺留分についても考慮していただくとよろしいかと思います。

 

ここまでご覧いただきありがとうございました。

 

 

法定相続分

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こんにちは。
前回は、法定相続人についてご紹介しました。


①遺産を相続することができるのは誰か?

②遺産をどのように分けるのか?

 

については、民法が規定しています。


この①に該当する人が、前回ご紹介した「法定相続人」です。

今回は、②の遺産の分割割合である法定相続分についてのお話をしようと思います。


遺言によって相続割合を指定されていなかった場合には

法定相続分を基準として、遺産分割が行われます。

以下に、「法定相続分」についてまとめた表を記載します。

 

≪各相続人の法定相続分

法定相続人 法定相続分
配偶者のみ 全額
子のみ 全額
直系尊属のみ 全額
兄弟姉妹のみ 全額
配偶者と子 配偶者2分の1、子2分の1
配偶者と直系尊属 配偶者3分の2、直系尊属3分の1
配偶者と兄弟姉妹 配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

 

基本的には、同順位の相続人が複数いる場合は、相続人間で均等に分割します。

 

<例>

例えば、配偶者1人、子が2人という場合には

上の表を見ると、配偶者の法定相続分は、遺産全体の2分の1となります。
子2人は、遺産全体の2分の1をさらに2人で均等に分けることになるので、

子の法定相続分は、1人につき、遺産全体の4分の1となります。

 

子については、 実子・養子・嫡出子・非嫡出子 によって

遺産分割の割合が変わることはありません。


実子とは、血縁関係のある子のことをいいます。
これに対して、養子とは、養子縁組によって法律上の親子となった

血縁関係のない子のことをいいます。

 

実子は、さらに嫡出子と非嫡出子に分けられます。
婚姻関係にある夫婦の間に生まれた子のことを嫡出子 
婚姻関係にない夫婦の間に生まれた子のことを非嫡出子

といいます。

なお、ここでいう婚姻関係とは、法律上の婚姻関係を意味しており

内縁関係は含みません。

 

また、子が生まれた時に婚姻関係になくても、子が生まれた後に
    父親と母親が法律上の婚姻をして
    父親が子の認知をすると   

その子は嫡出子となります。

 

一方、兄弟姉妹については、同順位の相続人が複数いる場合であっても、必ずしも
均等に分けることになるとは限りません。

民法
父母の一方のみが同じ兄弟姉妹(異母兄弟・異父兄弟)の相続分は、父母の双方が同じ兄弟姉妹の2分の1とする 

と規定しているからです。

 

<例>
例えば、長男、次男、三男という兄弟がいて、

長男・次男は、父母の双方が同じ

三男は、母親は長男・次男と同じ、父親は長男・次男とは異なる

という家族のうち、長男が亡くなり、法定相続人が 次男、三男のみ

という場合

次男の法定相続分は遺産全体の3分の2

三男の法定相続分は遺産全体の3分の1  となります。


異父兄弟の相続分は、父母の双方が同じ兄弟姉妹の2分の1

となるように分けられるからです。

 

 

遺言による相続割合の指定がない場合には

上記のような法定相続分によって遺産分割をすることになります。

 

 

ここまでご覧になっていただき、ありがとうございました。

法定相続人

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こんにちは。

前回までは、「遺言書」についてご紹介してきました。
遺産は、「遺言書」がある場合には、その内容に従って分けられますが、
一方、「遺言書」がない場合にはどのように分けられるのでしょうか?       この場合については、民法が規定しています。

 

民法

①遺産を相続することができるのは誰か?
②遺産をどのように分けるのか?

について定めています。

 

①に該当する人を「法定相続人」
②の遺産の分割割合を法定相続分 といいます。

 

今回は、

「法定相続人」についてご紹介しようと思います。


●配偶者
 配偶者(戸籍法に基づく婚姻の届出をした方に限る)は、常に相続人となります。

 

 ●第1順位の相続人

 (1)亡くなられた方(被相続人)の
 (2) (1)の子が既に死亡している場合は、その方の子(被相続人
 (3) (2)の子が既に死亡している場合は、その方の子(被相続人ひ孫

  ※上記(2)(3)のように、相続人になるべき方が既に死亡している場合

   その方の子、孫といった「直系卑属」が相続人となり、このような相続人を

   代襲相続人」といいます。


   死亡以外にも、相続欠格事由がある場合、相続人により廃除された場合にも 

   相続人となることができなくなるため、その直系卑属代襲相続人」

   なります。

  

●第2順位の相続人
 (4)第1順位の相続人がいない場合、亡くなられた方の直系尊属父母
 (5) (4)の方が既に死亡している場合は、その方の直系尊属被相続人祖父母

 

●第3順位の相続人
 (6)第1順位の相続人および第2順位の相続人がいない場合、亡くなられた方の
 兄弟姉妹
 (7) (6)の方が既に死亡している場合は、その方の子(被相続人甥・姪

 

では、実際には、この中の誰と誰が相続人なのか?ということについては、以下の例をご参考にしてください。

 


例1)配偶者がいる場合

 亡くなられた方に、「配偶者」と「第1順位の相続人」に該当する方がいる場合には
「配偶者」と「第1順位の相続人」が「法定相続人」となります。

「第1順位の相続人」に該当する方はいないが、「第2順位の相続人」に該当する方は

いるという場合には、「配偶者」と「第2順位の相続人」が「法定相続人」

なります。

「第1順位の相続人」と「第2順位の相続人」に該当する方はいないが、「第3順位の相続人」に該当する方がいるという場合には、「配偶者」と「第3順位の相続人」が

「法定相続人」となります。

 

例2)配偶者がいない場合

 「配偶者」がいない場合には、「第1順位の相続人」に該当する方がいる場合には、
「第1順位の相続人」が「法定相続人」となります。

「第1順位の相続人」に該当する方はいないが、「第2順位の相続人」に該当する方は

 いるという場合には、「第2順位の相続人」が「法定相続人」となります。

 同様に、「第1順位の相続人」と「第2順位の相続人」に該当する方はいないが、

「第3順位の相続人」に該当する方はいるという場合には、「第3順位の相続人」が

「法定相続人」となります。

 

 例3)代襲相続人の場合

 「 第1順位の相続人」となるべき子が、既に亡くなられている場合には、

 その方の「子」が「 第1順位の相続人」となります。


これを図示したものが、下記になります。

 

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以上が、「法定相続人」の内容になります。


相続手続を行う際は、「法定相続人は誰か?」ということを考えなければなりません。

 

法定相続人が誰かによって、話合いや書類の署名押印等、相続手続に必要な事務処理

にかかる時間が変わってきます。

法定相続人が「第3順位の相続人」となる場合には、「第1順位の相続人」と比べて

手続に時間がかかる事も多いです。

全体のスケジュールにも影響を与えますので、相続が開始したら、まず最初に

「法定相続人」は誰か? について調べることをお薦めします。

 


ここまでご覧になっていただき、ありがとうございました。

 

遺言書と検認

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こんにちは。
 
前回までは、「遺言」の種類と内容についてご紹介しました。
今回も、遺言
について、補足説明をしていこうと思います。
 
 
 
★遺産分割の方法★
 
遺言は、亡くなられた方が自分の財産を誰に残すかについてあらかじめ書き残しておく意思表示です。
 
そのため、遺言書がある場合には、遺産分割は、亡くなられた方の意思表示に従い、 遺言書の内容 のとおりに行われます。
 
一方で、遺言書がない場合には 相続人 が  遺産分割協議 を行って、遺産の分割方法を決定します。
 
このように、遺言書があるかどうかにによって、遺産分割の方法が変わってきてしまうため、相続開始後は、まず、 遺言書があるかどうか について確認する必要があります。
 
亡くなられた方が遺言書を作成していたかどうかについて、ご家族が知らない場合もあるため、自宅や病院、入所していた施設、貸金庫等に保管されていないかを確認します。

遺言が 公正証書遺言 の形式で作成されている場合には、最寄りの 公証役場 で 遺言検索 を行うことで、遺言の有無を確認することができます。
遺言検索は、どこで作成されたものであっても、最寄りの公証役場で検索が可能です。
遺言検索は、遺言者の生前は、遺言者本人しか行うことができません。
遺言者の死後は、当該遺言について 法律上の利害関係がある人 しか行うことができません。
このような制度のため、遺言検索を行う際は、遺言者の法定相続人等利害関係人であることを証明する資料 及び 本人確認書類 の提示が必要になります。

一方で、遺言が 公正証書遺言以外 の形式で作成されている場合には、少し注意が必要になります。
遺言書を見つけたら、直ちに開封して内容を確認したくなるかもしれませんが、まずは
開封をする前に 家庭裁判所に提出して「検認」という手続を受ける必要があります。
この手続きは、家庭裁判所で、相続人立会のもとで遺言書を開封し、遺言書の形状や加除訂正の状態、日付、署名など、検認の日現在における遺言書の内容を明確にするための手続です。
遺言書の偽造、変造を防止する目的で行われます。

なお、この検認手続は、具体的な内容や形式について 遺言の有効性を判断する手続ではありません ので、検認手続を経たとしても、後から 当該遺言書は無効であった ということが起こる可能性もあるので、ご注意ください。
 
家庭裁判所に「検認」の申立を行う場合は、相続人全員の戸籍謄本(全部事項証明書)が必要になります。
相続人全員というのは、相続人が一人でも漏れていたら検認手続はできないということを意味します。したがって、検認手続前に「相続人の確認」を行う必要があるといえるでしょう。
 
 
「相続人」 については、次回以降に詳しくご紹介していく予定です。
 

ここまでご覧いただきありがとうございました。

 


 

 




「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」

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こんにちは。
前回は、「自筆証書遺言」についてご紹介しました。
 
今回は、「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」についてご紹介しようと思います。

公正証書遺言」
 
公正証書遺言」は、証人2人以上の立ち会いのもと
公証人が遺言者の口述を筆記して作成します。
 
作成した「遺言書」の原本は、公証役場で保管されます。
(遺言者には「正本」「謄本」が交付されます。)
 
 
公正証書遺言」の一番のメリットは、
 
「遺言書」を確実に残すことができる点です。
 
「遺言書」は、その内容が法律上の要件を満たしていないと無効になりますが、公正証書遺言」は、公証役場で公証人が作成するため、そのような心配はいりません。
 
また、「公正証書遺言」は公証役場で原本を保管するため、紛失、隠匿、変造などの恐れがありません。
 
 
一方で、デメリットとしては、
 
公証人や証人に保有する財産や遺言の内容を知られてしまう
作成するのに、手間、時間費用がかかる
 
ことが挙げられます。
 
 
このような点から、確実に遺言を残したいという方には
公正証書遺言」が向いていると言えそうですね。
 
 
 
「秘密証書遺言」

「秘密証書遺言」は
 
遺言者が自分で作成した「遺言書」に署名・押印して
それを封筒に入れて「遺言書」に押印した印鑑で封印
遺言者が公証人・証人2人以上の前にその封書を提出して
それが 自己の遺言書であること を証明してもらう方式の遺言です。
 

「秘密証書遺言」のメリットは
 
「遺言書」が存在すること、本人が作成したこと が明らかでありながら、

遺言の内容を秘密にすることができる点にあります。
 
 
一方、デメリットとしては
 
公証人が遺言の内容を見て確認するわけではないので、「遺言書」が法律上の要件を満たしていない場合には無効になる恐れがあります。
 
また、公証役場で遺言書を保管するわけではないので、紛失の恐れがあります。
 
このように、公証役場へ足を運び、時間や費用をかけたとしても 確実ではない
という点が「秘密証書遺言」のデメリットといえるでしょう。
 
 
以上が「公正証書遺言」と「秘密証書遺言」についての概要です。
 
 
前回ご紹介した「自筆証書遺言」も含めて、それぞれの方式にメリット、デメリットがあります。ご自身の目的や環境に合った方式で遺言書を作成していただくために、この記事が少しでもお役に立てたら幸いです。
  
「遺言書」を作成しておくことは、相続トラブル回避にとても有効です。
「遺言書を書いてみようかな?」と迷われている方は、ぜひ一度書いてみて下さい。
 
当事務所では、遺言書作成に関するご相談も承っております。
お気軽にお問い合わせください。
 
 

 

ここまで、ご覧いただきありがとうございました。

自筆証書遺言

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こんにちは。

前回までは「給付手続き」について、個別具体的にご紹介してきました。
今回からは亡くなられた方の財産の引継ぎ、いわゆる「相続」についてご紹介します。
 
 
《相続とは》
 人が亡くなると、その人の財産上の権利義務はすべて相続人に承継されます。
これを「相続」といいます。
また、「遺言」により相続財産の一部または全部を贈与することを「遺贈」といいます。
そして、相続税とは、相続または遺贈により財産を取得した場合に、財産を取得した人(相続人)に対して課税される税金をいいます。
相続される財産は相続人の間で分割し、分割割合に応じて相続税を納付しなければなりません。
 
 

《遺言について》
「遺言書」の有無によって遺産分割の方法が異なるため、まず最初に、亡くなられた方が「遺言書」を残しているかどうかを確認する必要があります。
 
「遺言」とは、15歳以上の方が、自分の財産を特定の人に残したいときなどに、
あらかじめ書き残しておく意思表示のことで、亡くなられて初めて法的効力が発生します。
 
「遺言」には
 
  「自筆証書遺言」
  「公正証書遺言」
  「秘密証書遺言」
 
 という3つの方法があります。

今回は、「自筆証書遺言」について詳しくご紹介します。
 
 
 
  自筆証書遺言 
 
遺言者が遺言の「全文」「日付」「氏名」自書し、押印する方式
の遺言です。
基本的には、全部を自筆で書かなければならず、パソコンでの作成はできません。
以前は、「相続財産目録」を含めた全てを自書しなければなりませんでした。
「相続財産目録」の全部を自書するとなると、「自筆証書遺言」の作成はとても大変な作業になると思われますね。
 

そこで、2019年1月13日から「自筆証書遺言」が、少しだけ楽に作成できるような制度に変わりました。
遺言書に添付する「相続財産目録」自書によらなくても良くなり
 
パソコン・ワープロを使用したり、
遺言者以外の人に代筆を頼んだり、
預金通帳等のコピーを添付する
 
といった方法で作成することも可能になりました。
 
 
そして、「相続財産目録」を自書によらずに作成した場合には
相続財産目録の各ページに「署名」「押印」が必要 す。
 
 
なお、この制度は、2019年1月13日以降に作成された「遺言書」にのみ適用されるものですから、それ以前に作成された「遺言書」につきましては、「相続財産目録」についても自書でなければ無効となりますので、ご注意ください。
 
 
自筆証書遺言」のメリットとしては、

遺言書の内容や存在を秘密にすることができる
自分で書くだけで良いため費用等がかからない
 
という点が挙げられます。
 
 
一方、自筆証書遺言を保管するのは、基本的には遺言者であるため、

変造、隠匿、紛失などの恐れがある
死亡したときに発見されない場合には、遺言としての役割を果たせない
 
といったデメリットがあります。
 
 
また、遺言が有効となる要件が法律で定められているため、不備がある場合には遺言自体が無効になってしまい、
 
有効な「遺言書」を作成する事が、意外に難しい
 
という点もデメリットになるでしょう。
 
 
この点、「遺言書」の滅失や変造のリスクを回避できる制度として、2018年の相続法改正によって新たに「自筆証書遺言の保管制度」ができました。

この制度は、「自筆証書遺言」法務局に保管しておいて、遺言者が亡くなられた際は、相続人等が遺言書を閲覧できる という制度です。

令和2年7月10日から開始される制度になりますので、詳細については、発表され次第ご紹介したいと思います。
 
 
家族関係が複雑になった現代において、相続トラブルを防止するため
「遺言」が果たす役割はとても重要になってきています。
 
「自筆証書遺言」の作成要件緩和や「法務局での自筆証書遺言の保管制度創設」は、「自筆証書遺言」利用の拡充目的で行われたものと考えられます。
 
「遺言」について、なんとなくお考えの方は多いと思います。
一方で、作成に期限があるわけでもないので、つい先送りにしてしまうという方も多いと思います。
これまで「遺言」について、考えたことがあるという方は、新たな制度が誕生したこの機会に、作成されてみてはいかがでしょうか?
 
当事務所では、遺言書作成のご支援、相続税に関するご相談等を行っておりますので
、気になる点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
 

次回は、自筆証書遺言以外の遺言の方法「公正証書遺言」「秘密証書遺言」についてご紹介したいと思います。
 
 
ここまで、ご覧いただきありがとうございました。