こんにちは。
今回は、相続の「相続放棄」と「単純承認」「限定承認」についてご紹介します。
相続放棄という言葉は聞いたことがある方も多いと思いますが、「単純承認」と
「限定承認」という言葉は、初めて聞く方もいらっしゃるのではないでしょうか?
まずは、あまり聞き慣れない「単純承認」と「限定承認」からご紹介します。
■単純承認
相続の際、プラスの財産もマイナスの財産も全部相続することを「単純承認」と
いいます。単純承認をすると、相続財産のうち、マイナスの財産(借金等)の方が
多い場合には、 相続人の財産から 支払わなければなりません。
つまり、相続人にとっては、相続をすることによって損失が発生することになる
ということです。
また、単純承認をするつもりがない場合でも、以下の行為をした場合には
法律上 単純承認 をしたものとして取り扱われてしまいますので、注意が必要です。
① 相続開始を知った日から 3か月以内 に
「限定承認」または「相続放棄」の手続を行わなかった場合
→ つまり、単純承認をする場合には、単純承認をするための手続き
をする必要はなくて、何もしなければ良いということです。
② 相続人が相続財産の全部または一部を 処分 した場合
→ この処分は、捨ててしまうという意味だけでなく、お金を遣って
しまうこと、物を売却してしまうことも含まれていますので、
特に注意が必要でしょう。
③ 相続人が「限定承認」または「相続放棄」の手続後 に
相続財産の全部または一部を 隠匿 したり、私的に 消費 したり
相続財産と知ったうえで 「財産目録」に記載しなかった 場合
これは、相続人が、この後紹介する「限定承認」または「相続放棄」の手続きを
行い、被相続人のマイナスの財産(借金等)については、相続人の財産からは支
払わない、という選択をした場合のルールです。
この場合、相続財産のうち、マイナスの財産(借金等)の方が多い場合には
債権者は全額返してもらうことはできません。それでも、相続財産のうちプラス
の財産の範囲内では、借金等の返済をしてもらえます。
ところが、相続人が、債権者にはプラスの財産は存在しないと偽って、借金の返
済を免れて、こっそりとプラスの相続財産を受け取っていたら、不公平ですよ
ね。そのようなことは許されないということです。
■限定承認
「限定承認」をすると、被相続人のプラスの財産の範囲内で、マイナスの財産である借金等の支払いをする事になります。マイナスの財産(借金等)の方が多い場合でも、相続人の財産から債務を支払う必要はありません。
プラスの財産とマイナスの財産のいずれが多いかわからない場合等に「限定承認」をしておくと、プラスの財産の方が多かった場合には財産を受け取ることができます。
つまり、借金の方が多ければ相続したくないが、借金を返しても財産が残るならば、その分は受け取りたいという場合に有効といえるでしょう。
「限定承認」の手続きは 相続開始を知った日から3か月以内 に
相続人全員 で 家庭裁判所に申述 しなければなりません。
■相続放棄
「相続放棄」をすると、はじめから相続人でなかったものとみなされます。
相続財産のうち、マイナスの財産(借金等)の方が多い場合には「相続放棄」をしておくと、相続人の財産から債務を支払う必要はなくなります。
プラスの財産の方が多い場合であっても、相続財産を受け取ることはできなくなる
という点が、上記「限定承認」との違いになります。
「相続放棄」の手続きは、相続開始を知った日から3か月以内 に
家庭裁判所に申述 しなければなりません。ただし、この申述は、上記
「限定承認」の場合とは異なり、他の相続人と共にする必要はなく1人でできます。
以下に、3つの関係を表にまとめます。
相続財産の内容によっては、どの手続きを取るかがとても重要な問題になってきます。特に、手続き期限が「3か月」と短いため、注意が必要です。
ここまで、ご覧になっていただき、ありがとうございました。