こんにちは。
今回は「遺産分割協議」についてご紹介しようと思います。
遺言書がある場合には、遺産は遺言書の内容に従って分割されます。
一方、遺言書がない場合には、
相続人全員 で 遺産分割協議 を行い、遺産の分割方法を決定します。
遺産分割協議協議によって分割方法を決定する場合、分割方法は自由に決定することができます。相続人全員が合意している限り、一人の相続人が全部の遺産を相続するという内容にすることも可能です。
遺産分割協議協議後は、相続人全員が合意した協議内容を明らかにするために
『遺産分割協議書』を作成します。
全員が納得しているのだから、わざわざ書類まで作成しなくてもいいのではないか?と
お考えになる方もいらっしゃるかもしれませんが、家や土地等の不動産の相続登記、 銀行預金等の相続手続を行う時に、『遺産分割協議書』が必要になります。
『遺産分割協議書』の書き方については、注意しなければならない点があります。
注意点等の詳細は、別の機会にご紹介させていただく予定です。
では、本日の本題の「遺産分割協議」は、どのように行えばよいでしょうか?
相続人が集まって相談して決める というのは想像がつくと思います。
遺産分割協議で重要なポイントは、
相続人全員で行わなければならないという点です。
1人でも協議に参加していない相続人がいる場合には、その遺産分割協議は
「無効」となります。
この「相続人全員」という点について、法律上、少し細かいルールが定められているので、詳しくご紹介させていただきます。
遺産分割協議に参加しなければならない人は、以下の通りです。
①法定相続人(ただし相続放棄した方を除く)
相続放棄をした相続人は、最初から相続人でなかったものとみなされるため、遺産分割協議協議にも参加する必要はありません。
②「包括遺贈」を受けた人
まず、包括遺贈とは何か?と思われる方も多いと思います。
これは、遺言書に「遺産のうち2分の1を遺贈する」とあるような場合をいいます。
遺言書だけでは、具体的にどの遺産をもらうのかについてまでは分かりません。
そこで、遺産分割協議に参加して、どの遺産をもらうのかを決定することになります。
③相続分の譲渡を受けた人
これは、相続人であるAさんが、自分は遺産を受取る権利があるということは分かっているけど、どの財産を相続するのかは決まっていないという状況で、その相続する予定の財産をBさんに譲るという約束をした場合です。
この場合は、実際に遺産を受取るBさんが、遺産分割協議に参加することになります。
④「不在者財産管理人」
相続人の中に行方不明者の方がいる場合、事実上、全員で遺産分割協議をすることはできません。行方不明だから仕方ないじゃないか、といって、その行方不明の相続人は抜きで遺産分割協議をしたとしても、全員が参加していないため、その遺産分割協議は「無効」となってしまいます。
このような場合には、その行方不明者に代わって、行方不明者の財産を管理してくれる「不在者財産管理人」を 家庭裁判所 で選任してもらいます。
遺産分割協議には、「不在者財産管理人」が参加します。
⑤「成年後見人」、「保佐人」等
相続人の中に認知症の方がいる場合、その本人が参加しても、協議の内容を理解して合意をすることができません。たとえ相続人全員で遺産分割協議を行ったとしても、相続人の中に認知症の方がいた場合には、その遺産分割協議は「無効」になります。
このような場合は、その認知症の方に代わり、認知症の方の財産を管理してくれる
「成年後見人」、「保佐人」等 を 家庭裁判所 で選任してもらいます。
⑥「特別代理人」
相続人の中に未成年者がいる場合、未成年者は自分自身で遺産分割協議に参加することはできません。未成年者といっても、高校生くらいの年齢であれば「ちゃんと理解できるよ。」と思われる方もいるかもしれませんが、民法上は、未成年者が未熟であるために損をしてしまうということがないように、損をしてしまう可能性がある行為は、単独で行うことができません。
そのため、未成年者が相続人となる場合には、代わりに「法定代理人」が参加します。
法定代理人は、通常は、親権者である父母等であることが多いです。
しかし、相続の場合は、 親権者である父母等 が未成年者の代わりとして
遺産分割協議協議に参加することができない 場合があるた
め、注意が必要です。
例えば、AさんとBさんが夫婦、2人の子であるCさん(未成年者)という家族で、
Aさんが亡くなった場合、相続人はBさんとCさんになります。
このように、BさんとCさんが共に相続人となる場合、BさんがCさんの代理人となると、Bさん一人が全ての内容を決めることができることになります。
Bさん1人で、「遺産はすべてBさんが相続する」という分割方法を決定できると考えると、不公平になる恐れがあることは理解できますよね。
そこで、このような場合には(利益相反行為といいます)、
BさんはCさんの法定代理人として遺産分割協議協議を行うことはできません。
このような場合は、 家庭裁判所 で「特別代理人」を選任してもらい、未成年者の代理人とします。
以上が、遺産分割協議協議における 相続人全員 の考え方です。
遺産分割協議の参加者については、注意が必要になる場面もありますので、
法律上も「相続人全員が参加したといえるか?」についても確認をしていただくといいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。