こころ相続サポートセンター

自筆証書遺言

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こんにちは。

前回までは「給付手続き」について、個別具体的にご紹介してきました。
今回からは亡くなられた方の財産の引継ぎ、いわゆる「相続」についてご紹介します。
 
 
《相続とは》
 人が亡くなると、その人の財産上の権利義務はすべて相続人に承継されます。
これを「相続」といいます。
また、「遺言」により相続財産の一部または全部を贈与することを「遺贈」といいます。
そして、相続税とは、相続または遺贈により財産を取得した場合に、財産を取得した人(相続人)に対して課税される税金をいいます。
相続される財産は相続人の間で分割し、分割割合に応じて相続税を納付しなければなりません。
 
 

《遺言について》
「遺言書」の有無によって遺産分割の方法が異なるため、まず最初に、亡くなられた方が「遺言書」を残しているかどうかを確認する必要があります。
 
「遺言」とは、15歳以上の方が、自分の財産を特定の人に残したいときなどに、
あらかじめ書き残しておく意思表示のことで、亡くなられて初めて法的効力が発生します。
 
「遺言」には
 
  「自筆証書遺言」
  「公正証書遺言」
  「秘密証書遺言」
 
 という3つの方法があります。

今回は、「自筆証書遺言」について詳しくご紹介します。
 
 
 
  自筆証書遺言 
 
遺言者が遺言の「全文」「日付」「氏名」自書し、押印する方式
の遺言です。
基本的には、全部を自筆で書かなければならず、パソコンでの作成はできません。
以前は、「相続財産目録」を含めた全てを自書しなければなりませんでした。
「相続財産目録」の全部を自書するとなると、「自筆証書遺言」の作成はとても大変な作業になると思われますね。
 

そこで、2019年1月13日から「自筆証書遺言」が、少しだけ楽に作成できるような制度に変わりました。
遺言書に添付する「相続財産目録」自書によらなくても良くなり
 
パソコン・ワープロを使用したり、
遺言者以外の人に代筆を頼んだり、
預金通帳等のコピーを添付する
 
といった方法で作成することも可能になりました。
 
 
そして、「相続財産目録」を自書によらずに作成した場合には
相続財産目録の各ページに「署名」「押印」が必要 す。
 
 
なお、この制度は、2019年1月13日以降に作成された「遺言書」にのみ適用されるものですから、それ以前に作成された「遺言書」につきましては、「相続財産目録」についても自書でなければ無効となりますので、ご注意ください。
 
 
自筆証書遺言」のメリットとしては、

遺言書の内容や存在を秘密にすることができる
自分で書くだけで良いため費用等がかからない
 
という点が挙げられます。
 
 
一方、自筆証書遺言を保管するのは、基本的には遺言者であるため、

変造、隠匿、紛失などの恐れがある
死亡したときに発見されない場合には、遺言としての役割を果たせない
 
といったデメリットがあります。
 
 
また、遺言が有効となる要件が法律で定められているため、不備がある場合には遺言自体が無効になってしまい、
 
有効な「遺言書」を作成する事が、意外に難しい
 
という点もデメリットになるでしょう。
 
 
この点、「遺言書」の滅失や変造のリスクを回避できる制度として、2018年の相続法改正によって新たに「自筆証書遺言の保管制度」ができました。

この制度は、「自筆証書遺言」法務局に保管しておいて、遺言者が亡くなられた際は、相続人等が遺言書を閲覧できる という制度です。

令和2年7月10日から開始される制度になりますので、詳細については、発表され次第ご紹介したいと思います。
 
 
家族関係が複雑になった現代において、相続トラブルを防止するため
「遺言」が果たす役割はとても重要になってきています。
 
「自筆証書遺言」の作成要件緩和や「法務局での自筆証書遺言の保管制度創設」は、「自筆証書遺言」利用の拡充目的で行われたものと考えられます。
 
「遺言」について、なんとなくお考えの方は多いと思います。
一方で、作成に期限があるわけでもないので、つい先送りにしてしまうという方も多いと思います。
これまで「遺言」について、考えたことがあるという方は、新たな制度が誕生したこの機会に、作成されてみてはいかがでしょうか?
 
当事務所では、遺言書作成のご支援、相続税に関するご相談等を行っておりますので
、気になる点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
 

次回は、自筆証書遺言以外の遺言の方法「公正証書遺言」「秘密証書遺言」についてご紹介したいと思います。
 
 
ここまで、ご覧いただきありがとうございました。